新しい年を迎える前のひととき、今年を振り返り、明日へ向けて気持ちを整えることは、自分の可能性を広げる第一歩となります。本記事では、1年を総括する年末ジャーナリングの方法から、SMARTな目標設定、階層化された目標づくり、そしてビジョンボード・マインドマップを活用した思考整理術まで、段階的・視覚的な工夫によって行動を後押しするアイデアをご紹介します。日々の生活に追われがちな方も、ここでご紹介するメソッドを活用すれば、新たな年をより明確な目標と高まるモチベーションでスタートできるはずです。
1、《年末ジャーナリング》
年末ジャーナリングとは、「1年の終わりに、その1年間を振り返り、自分の経験や出来事、成長、反省点、達成したことなどをノートや日記帳に書き出す作業」のことです。
【年末ジャーナリングの手順】
①時間と場所を確保する
静かなカフェや自宅の書斎など、リラックスできる空間で、十分な時間をとって行いましょう。スマホの通知を切ったり、落ち着いた音楽を流すなど、集中できる環境づくりが大切です。
②テーマごとに振り返る
「仕事」「プライベート」「健康」「人間関係」「学習・スキルアップ」「趣味」など、自分にとって重要なテーマをいくつか設定し、それぞれについて起きた出来事や変化、達成したこと、未達成に終わったことを整理します。
③問いかけを用意する
書き始める前に、以下のような質問を用意しておくとスムーズです。
・この1年で最も誇りに思う達成は何か?
・最もつらかったこと、苦戦したことは何か?その学びは?
・1年前と比べて、どんな点で自分は成長したか?
・もっと挑戦しておけばよかったことは何か?
・来年に向けて改善したい習慣や取り組みは何か?
④ポジティブな面とネガティブな面の両方を記す
成功談や良かった思い出だけでなく、失敗や悔しかったことも正直に書き出しましょう。両面から振り返ることでバランスの取れた自己理解につながります。
⑤書いた後に要約する
一通り書き終えたら、要点をまとめて「この1年で学んだ3つのこと」「来年に向けた3つの目標」のように簡潔なキーワードに落とし込むと、後から見返しやすくなります。
【なぜやったほうがいいのか?】
①1年の総括ができる
普段は日々の仕事や生活に追われ、1年を通じた流れや変化をじっくりと考える機会が少なくなりがちです。ジャーナリングをすることで、この1年に起きたことや自身の成長、課題などを一度に振り返り、俯瞰的に把握することができます。
②次の年に活かせるヒントが得られる
この1年で上手くいったこと、行き詰まったこと、改善の余地がある行動や習慣を明確化できるため、新年に向けた目標設定や行動指針が立てやすくなります。
③心の整理と感情のリセットができる
振り返る過程で、抱えていた感情や悩み、喜びを言語化することで頭の中を整頓できます。こうした内省は新年を穏やかな気持ちで迎えるための心のリセットに役立ちます。
【メリット】
①自己理解の深化
書くことで、「自分は何が得意なのか」「どんなときにモチベーションが上がるのか」「どのような環境が合っているのか」など、自分自身に関する理解が深まります。
②達成感や感謝の気持ちの再確認
1年間の成果や成功体験を振り返ることで、自信がついたり、周囲のサポートへの感謝が増します。ポジティブな感情を改めて感じることで、自己肯定感が高まります。
③次に取るべき行動が明確になる
振り返りを通して見えてきた課題や不足点は、翌年の目標設定のベースとなります。具体的な改善策や新たなチャレンジに繋がり、前向きな行動につながります。
2、《SMART目標設定》
SMART目標設定とは、「具体的・計測可能・達成可能・関連性あり・期限つき」の5つの条件を満たした、行動に移しやすい目標の作り方です。
【SMART目標設定の手順】
①S(Specific/具体的)にする
「もっと本を読む」ではなく、「週3回、30分間読書をする」のように、誰が見ても明確な行動内容や回数・時間などを示しましょう。
②M(Measurable/測定可能)にする
進捗や達成度をチェックできる基準を設定します。上記の例なら「週3回、30分」といった回数や時間が測定基準です。
③A(Achievable/達成可能)にする
自分の状況やリソース(時間、金銭、スキル、サポート体制)を考慮し、達成が現実的な範囲かどうかを確認します。無謀な目標では挫折しやすくなります。
④R(Relevant/関連性)を持たせる
その目標が自分の人生観や長期的な目指す姿、価値観に合っているかを考えます。関連性が高いほど、取り組む意義を感じやすくなります。
⑤T(Time-bound/期限)を設定する
いつまでに達成したいのか、明確な締め切りを設けます。例えば、「3カ月後までに週3回のジョギング習慣を定着させ、体重を2kg落とす」のような形です。
⑥定期的な見直し・再設定
設定した目標は、定期的に進捗を確認し、必要に応じて修正しましょう。うまくいかない場合は、目標を細分化したり、条件を緩和・調整することで、実行性を取り戻せます。
【なぜやったほうがいいのか?】
①目標達成率の向上
SMARTな目標設定は、曖昧さを排除し、明確で行動に落とし込みやすい形にします。その結果、漫然と努力を続けるよりも達成につながる可能性が高まります。
②行動指針の明確化
目標を測定可能で期限付きにすることで、具体的なアクションプランが立てやすくなり、日々の行動を計画的・戦略的に進めることができます。
③動機づけ・モチベーション維持
現実的かつ関連性のある目標を設定することで、自分がなぜそれに取り組んでいるのかが常に明確化されます。これが内なる動機づけとなり、継続的なモチベーションを支えます。
【メリット】
①成果の見える化
測定可能な指標を取り入れることで、進捗状況や成果を定期的に確認できます。小さな達成感を積み重ねることで、更なる行動への意欲が高まります。
②現実的な計画立案が可能
達成可能性(Achievable)や関連性(Relevant)を吟味する過程で、無理のない計画を立てられます。これにより、目標が「絵に描いた餅」にならず、実行性が伴います。
③時間管理能力の向上
期限(Time-bound)を設けることで、時間というリソースを意識的に使い、効率的な行動が身につきます。目標達成へ向けたスケジュール感が明確になるため、日々の行動に優先順位を付けやすくなります。
3、《目標の階層化》
目標の階層化とは、大きな目標をいくつかの段階に分けて、小さなステップにしていくことです。
【方法】
①長期目標(1年~数年先)を設定する
「将来どうなっていたいか」「大きな成功や変化とは何か」を考え、理想の姿を明確化します。これが最終的な目的地(ゴール)となります。
②中期目標(3カ月~半年程度)を定める
長期目標を達成するための通過点として設定します。例えば、1年後に新しいスキルを習得して転職したい場合、3カ月後には基礎的なオンラインコースを修了する、といった具体的な中間ゴールを設定します。
③短期目標(1週間~1カ月程度)を細分化する
中期目標をさらに小さなステップに分解します。上記例では、「今週中にオンラインコースに登録する」「来週は1日30分ずつ学習時間を確保する」といった行動レベルの目標を立てると、毎日の指針が明確になります。
④定期的な進捗チェック
短期目標は週単位・月単位で見直し、中期目標は数カ月おきに進捗を確認します。計画が遅れていれば原因を分析し、行動計画を修正することで、長期目標への道筋を最適化できます。
⑤達成ごとの振り返りとご褒美
短期・中期目標を達成するたびに、その取り組みを振り返り、成功要因や改善点を整理します。小さな達成には自分へのご褒美を用意するなど、努力の継続を後押しする工夫も効果的です。
【なぜやったほうがいいのか?】
①全体像を明確にするため
長期目標が最終的なゴールを示す「地図」だとすれば、中期・短期目標はその道筋を示す「道しるべ」です。一つの大きな目標を、段階的な目標に分解することで、全体像がわかりやすくなり、到達すべき方向性が明確になります。
②計画的な進捗管理を可能にするため
大きな目標を小さなステップに分割することで、進捗を段階的にチェックできます。これにより、「いま何をすべきか」「どこまで進んでいるか」が把握しやすくなり、計画的な行動が可能になります。
③モチベーションを維持するため
長期目標だけを追うと、成果が出るまで時間がかかり、途中で挫折することもあります。中期や短期目標の達成は、こまめに成功体験を積み重ねる機会となり、モチベーション維持に効果的です。
【メリット】
①達成度の「見える化」
目標を細分化することで、定期的に達成できる小さなゴールが生まれます。これらをクリアするたびに達成感が得られ、その都度「うまく進んでいる」実感を味わえます。
②柔軟な修正が可能
中期・短期目標が明確になっていると、何か問題が起きた際に素早く軌道修正できます。計画通りにいかない場合でも、短期目標レベルで戦略を立て直すことができ、最終的な長期目標への到達確率を高められます。
③優先順位が立てやすい
長期・中期・短期に分けることで、どの行動が最も重要なのかが明確になります。いま集中すべき行動を把握できるため、リソースや時間の配分が適切になります。
4、《ビジョンボード・マインドマップ》
ビジョンボードは、将来の目標や叶えたい夢を写真や言葉で表し、1枚にまとめた「視覚的な地図」です。毎日目にすることでモチベーションや集中力を高め、自分が進むべき方向性を明確にできます。
【ビジョンボードの手順】
①テーマを決める
「今年の目標」「将来のキャリア」「健康的な生活」など、自分が視覚化したいテーマを明確にします。
②素材を集める
雑誌の切り抜き、写真、イラスト、キーワードになる言葉など、目標や理想を象徴する素材を集めます。
③配置して貼る
コルクボードや画用紙など、見やすいスペースに素材を貼り付けます。達成したい目標や気分を上げてくれる画像を中央や目立つ位置に配置します。
④よく見える場所に置く
デスクやベッドサイドなど、日常的に目にする場所に飾ることで、無意識に目標を意識でき、モチベーションが維持しやすくなります。
【マインドマップの手順】
①中心にテーマを書く
白い紙の中央に、取り組みたい目標や解決したい課題、アイデアの核となる言葉を書きます。
②枝を伸ばす
中心から放射状に線を引き、その先に関連するキーワードやアイデアを書いていきます。1つの主題につき、関連テーマをどんどん広げていきます。
③関連付けやグループ化
アイデアが増えたら、共通点や関連性を見つけてグループ化します。色分けや記号を使うことで、情報を整理しやすくなります。
④目標に合った行動プランを抽出する
マインドマップに書き出されたアイデアから、実行可能なステップや優先度の高い行動を選び出し、実際の計画につなげていきます。
⑤思考や目標を「見える化」するため
頭の中だけで考えている目標やアイデアは、曖昧なまま留まりがちです。ビジョンボードやマインドマップを用いて視覚化することで、考えが明確になり、どの方向に進むべきか見えやすくなります。
⑥モチベーションを高めるため
抽象的なゴールも、写真やイラスト、キーワードで表現すると「これを実現したい!」という気持ちが湧きやすくなります。視覚的な刺激は、行動の原動力となるモチベーションを維持するのに効果的です。
⑦発想を広げ、整理するため
マインドマップは一つの中心テーマから関連する情報やアイデアを枝分かれさせる手法です。頭の中を俯瞰できるため、新たな発想が生まれたり、膨大な情報を整理して優先順位を付けるのがスムーズになります。
【メリット】
①ゴールへの理解が深まる
ビジョンボードやマインドマップによって、自分が本当に実現したいことや価値観が再確認できます。これにより、自分にとって意味のある目標や計画を立てられます。
②行動計画が立てやすくなる
頭の中の情報を整頓することで、「今、具体的に何をすべきか」を導き出せます。ビジョンボードで理想の未来を描き、マインドマップで目標達成までの道筋を整理すれば、自然と行動すべきステップが見えてきます。
③柔軟な思考が身につく
マインドマップは自由に枝を増やしていくため、固定概念にとらわれずに考える習慣が身につきやすくなります。これにより、新しいアイデアや解決策を見つけやすくなります。
新しい年は、ただカレンダーがめくられるだけでは大きく変わりません。しかし、年末ジャーナリングで過去を整理し、SMART目標や階層化された計画で行動指針を固め、ビジョンボードやマインドマップで思考を「見える化」すれば、そこから生まれる力は確実に未来を動かします。「なりたい自分に近づく新年準備術」をヒントに、一歩ずつ前進する喜びを感じながら、思い描いた理想に手を伸ばしてみてください。
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