2023年3月、北海道日本ハムファイターズの新球場を含めたエリア、HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGEが誕生します。“Sports Community”を球団理念とする私たちがつくりたいのは、 野球を観戦するためだけの施設ではありません。パートナー、ファン、地元の皆様と一緒になって、地域社会の活性化や社会への貢献につながる“共同創造空間”です。
約32ヘクタールという広大な敷地面積の中で、自然と共存する次世代ライブエンターテイメントや心身を育むウェルネスソリューション、文化交流が活発な街づくりを目指す、まったく新しいクリエイティブなコミュニティスペースです。
国籍、年齢、性別を問わず、より多くの人がこの場所に集い、ともに夢や理想を実現していく。北海道のシンボルとなる、世界がまだ見ぬボールパークが誕生します。
そんな新しい共同創造空間であるHOKKAIDO BALLPARK F VILLAGEの8つのエリアを紹介します。
ES CON FIELD HOKKAIDO
敷地面積:5ha
収容人数:3万5000人
掘り込み式フィールドから地上4階まで観客エリアが広がります。
周辺環境との調和を第一に考え、建物中層部にテラスを複数造るなど、地域に溶け込むデザインを採用しています。
訪れる人たちに愛着を持ってもらいたいという想いを込めて。
Point
・360度回遊型コンコース
・通年で楽しめるTOWER11
・世界最大級の大型ビジョン
・日本最大級の遊び場
・手が届きそうな最前列
・プレミアムな観戦体験
・新しい飲食体験
・チームを身近に感じられるファイターズショップ
・フィールドが一望できるブルワリーレストラン
レジデンス
Fビレッジの中心にエスコンフィールドと並び立つ、日本エスコンのマンション「レ・ジェイド北海道ボールパーク」。地上14階建ての2つの高層レジデンスは、Fビレッジ全体のランドスケープに合わせて、自然を感じられる環境を整えています。
キッズエリア
子供たちが自由に思い切り遊べる空間を目指し、屋外にミニチュア版のフィールドや、たくさんの遊具を設置。ここでプレー体験した子供たちの中から、未来のファイターズ選手が誕生するかもしれません。
FIGHTERS LEGENDS SQUARE
1塁側エントランス前は、ファイターズの歴史と未来を繋ぐ広場。北海道日本ハムファイターズの歴史を彩ってきたレジェンドと、共に歩んできたファンの皆様の名前を、北海道遺産である「江別のれんが」に刻印し、敷き詰めます。
農園エリア
Fビレッジの一角、約3,500㎡の敷地に、クボタなどの最先端技術を用いた農業学習施設が誕生。北海道大学も技術展示協力として参画。ガラスハウスや露地で栽培された旬な野菜を、是非収穫したり、味わったり、体験してください。
認定こども園
キッズラボグループによる幼保連携型施設「キッズラボ 北海道ボールパークFビレッジ 認定こども園」を2023年4月に開園。病児・病後のお子様も安心してお預け頂ける病児保育も整備し、子どもたちが自由に安心して活動できる環境を整えます。
プライベートヴィラ
藤井ビルによる一棟貸切型の宿泊施設。各棟それぞれ嗜好をこらしたお洒落な空間を展開予定。水辺越しにエスコンフィールドを望みながらフィンランド式サウナを楽しめるヴィラ、愛犬と一緒に快適に過ごす施設やアメニティが充実したヴィラなど全9棟。
北海道の自然を感じながら、大切な家族・友人、そしてペットとともに思い思いの時間をお楽しみ下さい。
THE LODGE
エスコンフィールドと水辺エリアをつなぐ2階建ての商業空間。
建物全体に北海道産の素材を使用し、エスコンフィールドとも調和するデザインを採用。北海道の自然に溶け込む温かみのある建物として、自然の変化を楽しむことができ、時間と共に育っていく空間を創ります。
アウトドアアクティビティやワークショップを体験できるテナントや近隣地域の魅力を発見できるアンテナショップなどが入居し、エリア内はもちろん、周辺地域へも周遊、観光に訪れることができる観光のハブ機能を担います。
1階 スペシャライズド エクスペリエンスセンター
スペシャライズドの直営、かつアジア初のエクスペリエンスセンター。e-Bikeやロードバイクの試乗およびレンタル、ガイドツアーなどサイクリング体験を提供します。Fビレッジ周辺の豊かな自然、各自治体が整備する良好な走行環境を是非サイクリングでお楽しみ下さい。
F VILLAGE GARDEN
ガーデン全体のコンセプトは「北海道の新たな交流が生まれるガーデン」。Fビレッジのランドスケープは、高野ランドスケーププランニング株式会社が監修し、ガーデンと植栽のデザインは、約100年を誇る世界最高峰のガーデンショー「チェルシー・フラワーショー2019」ゴールドメダリストの柏倉一統氏と佐藤未季氏が担います。また、柏倉氏、佐藤氏を中心に近隣地域の方々に参画いただき、造園や植物のメンテナンスを行います。北海道らしい豊かな自然を、五感を通じて感じて頂ける場を目指します。
A.ワンダー・ガーデン
キッズボールパークや遊び場に隣接したガーデン。子供と大人の「センス・オブ・ワンダー」と五感を呼び起こすビビッドでカラフルな植栽で、蝶やミツバチが好きな植物中心のバタフライガーデン、香るハーブをちりばめた香りのガーデンや、触って楽しいエリアがあり、今まで自然に触れることが少なかった方も、自然が当たり前すぎて気づけなかった方も、楽しみながら自然に興味を惹かれるような植物に触れて学んで遊べるきっかけになるガーデンを実現します。
B.水辺&ピクニックガーデン
芝生から池を望みエスコンフィールドを見渡す際、植物がさりげない額縁となる絶好のフォトスポットになるガーデン。
水辺のガーデンは、北海道に自生する植物でデザイン。身近な植物に改めて触れることで、まだ知らない北海道の植物を再発見できます。
ピクニックガーデンは、春には芝生からスイセンやチューリップ、クロッカスなどの球根が顔を出し、夏には夏草の中からアラリムやカマシアの花が現れます。
C.ゲートウェイ・ガーデン
Fビレッジとエスコンフィールドを結ぶガーデン。野球の試合や沢エリアの様々なアクティビティへの期待感、高揚感を高めるような、エスコンフィールドとその上に広がる青い空に映える、ダイナミックな植栽が広がります。
シニアレジデンス・メディカルモール(2024年開業予定)
Fビレッジ南東の一角に、多世代が集い交流する拠点を目指し、日本エスコンによるアクティブシニア向け賃貸レジデンスを開業(2024年春予定)。
メディカルモールやフィットネスも併設し、青少年からご高齢まで、あらゆる年齢の方々の健康維持と地域医療への貢献を目指します。
みんなで作る”新しいまちづくり”
札幌のとなり、北海道北広島市で2023年3月の開業に向け整備が進むファイターズの新球場「北海道ボールパークFビレッジ」。
エリア内にはマンションやシニアレジデンスなどの「住む場所」
そして認定こども園やキッズエリアなど「子どもたちの場所」
さらに農業体験施設など多くのプロジェクトが展開されています。
なぜ多様なプロジェクトが展開されるのか?
それはここが「共同創造空間」、SDGsでは17番にあたる「パートナーシップで目標を達成しよう」という思いをもって作られているから。今回は、ボールパーク開業に関わる人々にその構想を聞きました。
「北海道ボールパークFビレッジ」は主体となる北海道日本ハムファイターズ、そして北広島市どちらにとっても大きなプロジェクト。しかしその名前にも、核となる新球場「エスコンフィールド北海道」にも、「ファイターズ」そして「北広島」というチーム名やマチの名は入っていません。
マチの名が入っていないことについて北広島市ボールパーク推進室長の川村裕樹さんはこう話します。
(川村室長)
「ボールパークのある場所が北広島市だけは揺るぎないと思います。施設自体が当然北広島にありながらも、この近郊、北海道全体のシンボルとなるようなという思いをこめて」
「一つ一つの自治体はありつつも、やっぱりもうそれだけじゃなく、北海道全体にボールパークの価値が還元されて、みんなが喜んでくれ、受け入れてくれるっていうような思いを込めると、あまり名前にこだわるところではないのかなと思います」
この事業を進めるファイターズ スポーツ&エンターテイメントの三谷仁志事業統轄副本部長も多様なパートナーシップを強調します。
(三谷副本部長)
「ファイターズがやるわけではなくて、地元自治体、行政機関、民間企業もそうですし、学校、官民学連携パートナーシップでやっていくことによって地域としての価値増大のパワー、エネルギーみたいなものが変わってくると思います。どちらかというと我々はプラットフォーム、土台を作って皆さんにその場を使っていただくことも十分必要だと思っています」
パートナーシップによって作るボールパークプロジェクトはなぜ生まれたのか?
それを解き明かすにはしばらく時間を戻す必要があります。
ファイターズが目指してきた「スポーツコミュニティ」
スポーツと生活が近くにある社会=「スポーツコミュニティ」を球団理念に誕生した「北海道日本ハムファイターズ」。北海道に移転したのは2004年、移転後5年間で3度のリーグ優勝は果たしたものの、運営面ではホームスタジアムである札幌ドームのある課題が見えてきていました。
(三谷副本部長)
「スポーツコミュニティを実現していくときには、やはりハードとしての人々が集まる施設、この価値と、球団というプロ野球チーム、この価値の双方が相乗効果で、価値を高めていくことが地域にとってもメリットがある**というふうに思って。この価値提供をしっかりできるような体制を作っていかないといけないのではないかというのが2009年当時スポーツコミュニティの実現という観点で考えたこと。色々な我々の模索、様々なプランニングを通して2015年に新球場プロジェクトをスタートさせました」
北広島市が温めてきた「総合運動公園計画」
一方の北広島市、今から半世紀以上前から温めてきた計画がありました。それは「スポーツを通じた交流の場所を作りたい」という壮大な総合運動公園計画。
人口が増え、町から市に変わるタイミング(1996年)などで何度か再検討はされるものの、上下水道など市民のインフラ整備が優先する中では後回しに。広大な土地は雪捨て場などとして使われていました。
しかし計画は2015年の10月に再び動き出します。それは「スポーツの力で地域、経済を活性化する」とスポーツ庁が誕生したタイミングでした。
「世界がまだ見ぬボールパーク」生まれたきっかけは…
(川村室長)
「官民連携手法導入検討調査みたいな感じで、民間さんの事業、民間とはどう組めるのかということを国の補助をいただいて」
実はファイターズがまだボールパーク構想を世の中に公表する前のこと、この調査の中で北広島市はファイターズにヒアリングをします。
ヒアリング実施当時を2人はこう振り返ります。
(三谷副本部長)
「我々も実は2015年、社内で極秘に新球場プロジェクトというのがスタートしたタイミングでしたので、ここと、この新球場プロジェクトの実現する場所としての可能性みたいなのが、ないことはないというふうなところからスタートしました」
(川村室長)
「ファイターズさんの方がやっぱり計画は壮大だった。我々はちょっと手の届かない感覚でいたから、直ちにウチに来てっていうような言葉でも結びつくようなレベル感じゃなかった。最初は」
一方で、こうも感じていました。「総合運動公園計画予定地を使って、ファイターズのやりたいことがやれるんじゃないか」
北広島市はその後、ファイターズの「ボールパーク構想」が公開になるとすぐに誘致を表明し、市民一体の誘致をアピールします。さらに職員手作りのボールパークの提案書をファイターズに提出します。
ファイターズの構想を想像し、自分たちが温めてきた総合公園を創造する。北広島市は手書きのイメージ図に2つの思いを込めました。
その思いのこもったイメージ図はファイターズのココロを動かします。
(三谷副本部長)
「運動施設プラスそれ以外のアクティビティが入っているような、こんな展開をしたいというふうに描いていただいたビジョン、ピクチャーを見たので、我々も同じような考え方をしているということで、感銘を受けたっていうのはあります」
その後も北広島市は署名活動を行ったり、市長自らファイターズの親会社、日本ハムを訪れたりするなど積極的な誘致活動を続けました。
「パートナーと挑む」ボールパーク計画
そして2018年3月、北広島市総合運動公園予定地がファイターズの新球場建設予定地に決まります。
その時、三谷仁志事業統轄副本部長はこう発表しました。
(三谷副本部長)
「皆さんにとって新球場は困難に見えるかもしれないが、仲間、パートナーとともに歩み、挑んでまいりたい」
ファイターズと共にボールパーク事業を進める北広島市の川村裕樹ボールパーク推進室長はプロジェクトを進めるにあたってこう振り返ります。
(川村室長)
「前例がないのは『やったことがないだけで前例がないだけ』」
「どうやって解釈しながら、どういう関係者と協議をするかで、突破口がある。そういったことをやり続けた結果が今ここにきている」
北広島市が積極的にボールパーク事業に取り組んだ理由があります。
少子高齢化の進む中でマチのシンボルになり、市民がそこに集い、楽しむことでマチの誇りを生み出したい。行政としての思いがありました。
(川村室長)
「Fビレッジが持つ意味というのは、やっぱりまず北広島の誇りを一つ作れるということ。
北広島に行ったらこういった施設があって、こういったことが自慢できるものがあるということはインパクトがあると思う。一方でこれに関わる人がいっぱい増えてくると、ある意味スポーツよりも関わることで健康になったり、ボランティア意識が生まれたり、そういう効果もあるかなと」
ファイターズと北広島市がともに目指すのは、多くのパートナーを巻き込みながら、スポーツが日常的になることで希望をつむぎ、北海道のランドマークとして人がつどい、新しい価値を生み出していくまちづくりです。
(川村室長)
「ファイターズさんと、我々のいろんな若い職員も交えて話をしています。ここでやることでどういう価値を生み出すのか、どういうことを生み出すのかっていうことを考えながら、やっています」
この新しいまちづくりを「間近で」「当たり前に」感じることで、北広島に暮らす子どもたちにも変化が生まれています。「ボールパークに何が欲しい」ではなく「ボールパークを通して何が生み出せるか」、こう考える子どもが増えてきたといいます。
「パートナーシップのまちづくり」で
北広島市の未来が変わる
(川村室長)
「市内の小中学生も総合学習の時間でよくまち作りについて取り組んでいて、壁新聞が増えています。ボールパークから何とか、ボールパークがもたらす何とか、そういったことを事前に我々の職員のところに自主的に勉強に来ている。学校も職員が行ってまち作りのところに少しずつ入っている。」
こうした子どもたちの変化がもたらす未来に川村室長も期待をしています。
(川村室長)
「そういった子たちがいずれ色々なところにお仕事で外に出たりするかもしれません。自分たちのマチでこういったことが今起きていることを今の子どもたちが体感し、10年後にもし戻ってきたときに、もしボールパークに関わって、直接じゃなくても何かの仕事で関わったりすると、いわゆる持続可能なずっとマチになってくると思っています」
ファイターズが新球場のキャッチフレーズとしている「世界がまだ見ぬボールパーク」は2023年3月に開業してすぐ見られるものではありません。
ボールパークが開業してからも多くのひとたちを巻き込み成長していく、その姿が本当の「世界がまだ見ぬボールパーク」。これからも時代に合わせながら未来を見据え、多くのパートナーとして協働して創造する新しいまちづくり、単なる新しい野球場建設ではない挑戦が北海道北広島市で続いていくそうです。